うっとり

最近子どもとのやりとりの中に「うっとり」を取り入れることにした。
「ママ!僕、○○が欲しい!」とねだられたとき、とりあえず、まず最初に「うっとり」してみせるのである。そして、これが絶大な効果を誇ることを発見した!

たとえば、だ。今までの会話だとこうなる。

〈使用前〉
「ママ!ぼく、かめんらいだーだぶるのふろっぐぽっどが欲しい!」
「フロッグポッドって・・・だめよ、この間ダブルドライバー買ったばかりでしょう!もう少し我慢しなさい!」
「やだやだ!ふろっぐぽっど!ふろっぐぽっどおおおおおお!!!!」
「泣かないの!こんなことぐらいで!」
「ママなんか、僕のこと嫌いなんだ!ママ、じぶんかってだ!ちきゅーはね、ママのために回ってるんじゃないんだよ!」


・・・何が悲しくて朝っぱらから5歳児に地球自転だか公転だかについて説教されなくちゃならないのだろうか。どうせ説教たれるんだったら、私がまだよく知らないことについて説教して欲しいものだ。「ママ、フランクフルト学派はね!ママが思ってるほどエリート主義じゃないよっ」とかさ。

というわけで、「うっとり」導入。

〈使用後〉

「ママ!ぼく、かめんらいだーだぶるのふろっぐぽっどが欲しい!」
「フロッグポッドって・・・すてきねえええええええ。
「(ちょっと母親の勢いに気圧されつつ)・・・うん。すごくステキなんだよ!」
「声の録音ができるのね・・・・(うっとり)フィリップくんが作っていたものよね・・・(うっとり)『げろげーろ』って言っていたのよね・・・・(うっとり)かわいかったわねええええええ(超うっとり)
「うん。ぼくね、ふろっぐぽっどと、すたっぐふぉんと、ばっどしょっとがほしいんだ〜。」
「ままはね!(うっとり)フロッグポッドと、スタッグフォンと、バットショットと、スパイダーショックとメタルシャフトとトリガーマグナムとファングメモリと、はう・・・(←息継ぎ)翔太郎の服とフィリップの服と照井竜の赤いレザージャケットと、地球モチーフのペンダントとフィリップの時計が欲しいなあ・・・(超うっとり)」
「ほしいねええええええ。」
「うん。ほしいわあああああ・・・。(うっとり)」
「それじゃあ・・・おかねをためようか?」
「まあ!(うっとり)なんていい考え!なんであなたはいつもそんなにいい考えをもっているのですか?!(←英文和訳調)」
「ふっ。(←照れているらしい)やだなあ、いつもじゃないよっ。」
「でも、ままは今すぐ欲しいっ。フィリップのパーカーが欲しいわ!」
「(憐れむような視線で)わがまま言わないの。僕のダブルドライバー貸して上げるから!」





・・・すごい。自分で「お金ためる」とか言っちゃってるよ。「わがまま言わない」とかいわれちゃったよ。ていうか、これでおもちゃおねだりは終結ですか?「うっとり」最強。
難点は、会話がやたら長くなることと、人に見られるととてつもなく恥ずかしいことと、「欲しいわあ」と言っていると本気で欲しくなることだわね。


ま、そういうわけで、最近 子「○○欲しいなあ・・・・」母「欲しいわねええ」型の会話が定着しつつある我が家。おかげで私が「〇〇欲しいなあ・・・」と言うと子どもがすかさず「ほしいねえ」と返すようになった。本当、うっとりのおかげで家庭生活がとても和やかだ。

昨日の朝なんて、仕事の準備をしながら「うーん。家にもやっぱりネット接続でOEDが欲しいなあ…」とつぶやいたら、すかさず「うん!ほしいねえええええ。べんりだもんねーおーいーでぃー!」と返された。

・・・・いや、キミ。それは嘘でしょう。