病状他

昨年、ちょうど9月の退職の日が下の子供の診察でした。

何度も確認していた先生から、「明らかに回復の様子が見られます」とのこと。
これは何重にも嬉しい話でした。

まずは、5歳までの生存確率を考えないで生活することが、これで許されるようになったということ。
そして、回復しているということは、そもそもの原因が感染性心内膜炎であった可能性が高いと言うこと。
つまり、それは、遺伝性の心臓病だった可能性が低いということで、今までずっと心の隅に引っかかっていた、「それでは上の子の心臓は?」という心配が、「ひとまず」可能性の低いものに変わった、ということにもなります。

彼の今までの病状を見た場合、心筋が力を取り戻すことは非常に珍しいケースだということで、「念のため、もう数ヶ月まって、経過を見ましょう」と言われたのですが、この3月、改めてお墨付きをもらいました。

今回説明を受けたことは、
心臓が「元通りに」なることはないけれど、「普通の生活」をすることが十分できる回復をしている、ということ。
思春期にさしかかり体が大きくなって行くに従って手術で狭くした弁が一緒に成長してくれない可能性はゼロではない。その場合は再度心臓手術が必要になるということ。
今まで6種類飲んでいた薬を大幅に減らして2種類として大丈夫であるということ。
(どの薬も薬剤師さんが処方箋を見て「えっ・・・・この年齢の子供にこの量のこれを?・・・ちょっと確認します」とお医者さんに確認の電話をするような代物だったので、実はこれも本当にほっとしました。こちらの子供向けの薬は液体で渡されるので、はかっている時の緊張といったら・・・・)


そして、最後にお医者さんに言われた言葉。
「私は初めてこの子を見たとき、『もしもこの子の運が良ければ、この先私が医師としてやって行く間中ずっと、こまめに会うことになるだろうな』と思っていました。この仕事をやっていて、こんなことを言えることは滅多にないんですが・・・次に会うのは来年の今頃で大丈夫です。」

小児心臓医としてどれだけ頻繁に辛いことを親に言わなくてはならないのかが伺われる言葉でした。
そして、そのような辛さにも関わらず、小児心臓に関わって行く人々がいることに、心の底から感謝するしかない、と思わされた日でもありました。それまでは、そこに思い至らぬほど、子供のことばかりが心配だったのです。


日々の生活は急に変わるものではありませんが、これで、一つの区切りがついたこともあり、そろそろ自分の先も考えなければなりません。ゆっくりと進んで行きます。今後ともよろしくお願いいたします。ご報告と御礼まで。