愛のある性教育
Condom Nation: The U.S. Government's Sex Education Campaign from World War I to the Internet
- 作者: Alexandra M. Lord
- 出版社/メーカー: Johns Hopkins Univ Pr
- 発売日: 2009/11/23
- メディア: ハードカバー
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読んでいて暗澹たる気分になるのは、やはり性教育を動かしていく背景の力として「望まない妊娠」よりも圧倒的に「性病」の存在があること。どちらも人の体と命に関わることであるけれど、女性にそのリスクが大きい「望まない妊娠」だけでは性教育の推進力としては弱いというのがもう、なんというか。
1930年代米でコンドームを性病防止の目的では合法とし、避妊目的では違法とする、というのは、言われてみると極めてありそうなのではあるけれど、読んだときにはかなりびっくり。
意外だったのはレーガン政権下で、実は性教育が前進していることで、これはちょっと面白かった。
「とにかくセックスをしなければ望まない妊娠も性病もない」というのは一面の真理でありながら、実際には「セックスをするな」と教えられた子供と「性教育を受けた子供」で、性的活動の間には有意な差が見られないそうで、それは「さもありなん」である。さらには、「セックスをするな」と教えられた子供の方が、性病をパートナーにうつす可能性が高いそうで、もう、こういう調査結果を見るとなんか、やらねばならないことは目に見えている気がするのだけれどね。
「なぜ、アメリカではそうならないか」が丁寧に書いてあるという印象。