愛のある性教育

Condom Nation: The U.S. Government's Sex Education Campaign from World War I to the Internet

Condom Nation: The U.S. Government's Sex Education Campaign from World War I to the Internet

年末から、自分の分野ではないのでキンドルで細々と読んでいたアメリカの性教育史。
読んでいて暗澹たる気分になるのは、やはり性教育を動かしていく背景の力として「望まない妊娠」よりも圧倒的に「性病」の存在があること。どちらも人の体と命に関わることであるけれど、女性にそのリスクが大きい「望まない妊娠」だけでは性教育の推進力としては弱いというのがもう、なんというか。
1930年代米でコンドームを性病防止の目的では合法とし、避妊目的では違法とする、というのは、言われてみると極めてありそうなのではあるけれど、読んだときにはかなりびっくり。
意外だったのはレーガン政権下で、実は性教育が前進していることで、これはちょっと面白かった。

「とにかくセックスをしなければ望まない妊娠も性病もない」というのは一面の真理でありながら、実際には「セックスをするな」と教えられた子供と「性教育を受けた子供」で、性的活動の間には有意な差が見られないそうで、それは「さもありなん」である。さらには、「セックスをするな」と教えられた子供の方が、性病をパートナーにうつす可能性が高いそうで、もう、こういう調査結果を見るとなんか、やらねばならないことは目に見えている気がするのだけれどね。
「なぜ、アメリカではそうならないか」が丁寧に書いてあるという印象。