TLS書評を読む日

TLSの書評はできるだけこまめに目を通そうと思っているのだけれど、忙しいとついつい、興味を持った記事のみを手でちぎってファイルしておくことになる。ので、久しぶりにちぎった記事の山に最初からきちんと目を通す。

下手に時間を置いてしまうと、表面と裏面のどちらに興味を持っていたのかわからなくなってしまうという罠。
たとえば、1月19日の(1月19日!なんてこったい)記事は12ページのMichael Holroydによる無名の作家Hugh Kingsmillに興味を持ったのかもしれないし、裏面の(しかも、かつての同級生が書評している)イギリスの風景についての本に興味を持ったのかもしれない。どっちなんだろう。
Hugh Kingsmill、オーウェルやエンプソンを始めとする文化人に影響を与えたのに無名なんだよ、という記事。
風景関連はDavid Matlessに言及があるのかと思ったんだけれど、全然なし。書評はRobert MacFarleane。昔、一緒にお酒を飲みに行ったときにはMatless? 誰?っていう感じだったから、当時は(といっても、もう4−5年前だけど)風景に特に興味を持っている印象はなかったんだけれど。あれから方向転換したのかしら。

The English Landscape in the Twentieth Century

The English Landscape in the Twentieth Century

特に第二次大戦以降のイギリスの風景の変遷の事実関係をチェックするのに良さそうだ。

同じく1月19日にはMy Madness Saved Me: The Madness and Marriage of Virginia Woolfの書評。精神科医による本で、小説の読解そのものは薄っぺららしいということが書評からわかる。当人は「精神病は存在しない」というスタンスを取っているらしく、結構トンデモナ本なのではないかという感じ。これで、書評がTLSに出ちゃうんだからウルフはやはり大きな分野なんだな。

Andrew Scullが引用した部分を孫引き引用。

I propose to examine how Virginia Woolf, as well as her husband Leonard, used the concept of madness and the profession of psychiatry to manage and manipulate their own and each other's lives.

ちなみに彼はこの本を"a through demolition job"と形容する。読めば読むほど、気に入らなかったのはわかるのだけれど、こういう「特に好きではない本」をフェアに、しかも読ませる形で書評をするのは難しいはずだ。

My Madness Saved Me: The Madness and Marriage of Virginia Woolf

My Madness Saved Me: The Madness and Marriage of Virginia Woolf