読了。渡辺裕の宝塚が
音楽史、及び歌劇という興味に沿って文化が交じり合う際の問題系(
オリエンタリズム、中心と周縁の関係)を扱っているとすれば、こちらの重点はむしろ
ジェンダーにある。「演じる少女」という極めて問題のある立場(つまり、演じること自体の持つ「プロフェッショナルな」そして時には「いかがわしい」イメージと、「少女」という「無垢」を前提とされた存在の二律背反)を鍵に、宝塚の独自性、「学校」というシステムを読み解いていく。なるほど、学校とは演じる少女と舞台の持つ商業性を覆い隠す装置でもあるわけか。読み応えがある。「
男装の麗人」と「
異性愛的
イデオロギー」との微妙な力関係も、また面白い。何よりも、宝塚を
愛する人によって書かれた本だという印象もあり、そういう意味でも楽しい。