ヴァージニアウルフ協会3月例会

詳しくはこちらにも。
今回は司会役をおおせつかる。
のでちょっと付け焼刃ながら『ダロウェイ』及びParisを予習。


松井かや「シルヴィアの死──ダロウェイ夫人の『再生』をめぐって」

なるほど。いましたね、クラリッサの妹のシルヴィアという人が。このあたり、昨年7月の例会で福島麻子さんが解題したTammy Clewellの論文、 "Consolation Refused: Virginia Woolf, The Great War,and Modernist Mourning"と比較しても面白いかもしれない。
木や庭、植物のイメージを通じて、あれだけの大量の死者を出した第一次大戦後、パストラルの回復は可能だったか、という問いを読み解こうとする。
つまり弔うということ、誰かの死にけりをつけるということ、そこに入ってくる政治的な意味合いなどなど。今後どんどん発展していきそうな発表で聞いていて楽しい。
ただ、イギリスにおける木って、単に軍国主義に対する概念であるだけではなく"Wooden Walls of England"(イギリスの木の防御壁、つまり軍艦のこと)という言葉もあるみたいに、(こういうものも残っていることだし)歴史的にはある意味、寄り添っちゃったりする概念でもあるので、読み解きは複雑かもしれないなあと思う。


河野真太郎「ウルフが嫉妬した女──ホープ・マーリーズ、都市遊歩者ユートピア

マーリーズのParisは先に読ませていただいていたのだけれど、いやあ。なんというか濃い詩である。楽しい。ご本人も楽しかったようですが(笑)
こちらも更なる発展が非常に楽しみ。
しかし、何度読んでもどこまで言葉の意味がかけられているのかわからないあたりが、底知れぬ詩です。私はフランス語がさっぱりなので英語文を中心に読みながら、楽しませていただきました。
ちなみに、途中の楽譜。id:shintakさんはフルートを取り出してチェックなさったとおっしゃっていましたが、私も実はフィンガリングをして拍を取ったりしてみました。

ぜんぜんわからん。


質問が来なかったら、といくつか用意しておいたのですが、フロアの反応もよく、良い質問がいくつも。司会をしていると、どのような質問が来るか気になるのでフロアを観察してしまうことを発見。