第9回 早稲田大学ジェンダー研究所 主催シンポジウム

毎年、多くの学部生の方が聴きにきてくれます。今年もそうなることを願いつつ。

<産む/子を持つ>をめぐるジェンダーの磁場

2009年11月14日(土)午後1時30分(午後1時開場)〜午後5時
早稲田大学 8号館B107教室(早稲田キャンパス南門を入って左手)
地下鉄東西線早稲田駅下車徒歩5分、またはJR・西武新宿高田馬場駅より都バス早大正門前下車)


 妊娠、出産は身体と文化の、産む人間と医療システムの、そして個人や家族と社会の要請がせめぎあう、ジェンダー研究上極めて重要な問題群をはらんだテーマです。現代日本では、産科医療の危機が叫ばれる一方、「結婚した男性と女性の間の出産」という大きな規範から外れた場所で<子産み>を経験する人々には、まだまだ十分に焦点が当てられているとはいえません。
 第9回を迎えた今回のシンポジウムでは、「産む」ことをめぐるこうした様々な日本の問題群に三者三様の切り口でパネリスト達が迫ります。会場の皆さんと共に、活発な議論が展開されることを期待します。

パネリスト
棚村 政行(早稲田大学法学学術院教員)
    「父になること/僕の子じゃない!?―妊娠と家父長制『300日問題』が意味すること― 」
塚原 久美(金沢大学キャリアデザインラボラトリー所属研究パートナー、翻訳家)
    「胎児とジェンダー:宿した子は誰のもの? 宿した女性は誰のもの? ―リプロダクティヴ・ライツと自己決定権― 」
有田 啓子(立命館大学大学院研究生)
     「『親』という社会システムの再考を夢想する―レズビアンマザーをめぐる諸議論の検討― 」

一般来聴歓迎・入場無料

パネリスト

棚村 政行 (たなむら まさゆき)
早稲田大学法学学術院教授。ジェンダー研究所研究員。
研究テーマは「離婚と子の監護、家事調停、宗教団体法制、宗教と消費者問題」。主な著書に『ライフステージと法(第5版)』(共編著・2009年)、『民法7 親族・相続(第2版)』(共著・2009年)、『夫婦の法律相談』(共編著・2004年)、『結婚の法律学(第2版)』(単著、2006年)など。離婚後300日問題は、家制度のもとでの古い父親決定ルールが残り、社会の実情にそぐわないことから生じている。子の妊娠出産や親とは何かという根源的な問題を考えながら、民法や戸籍制度のあり方を見直したい。

塚原 久美 (つかはら くみ)
 金沢大学男女共同参画キャリアデザインラボ所属研究パートナー、翻訳家。
 専門は、「女性のリプロダクティヴ・ヘルス・ライツ」の学際研究。最近の共訳書に、ノーグレン『中絶と避妊の政治学』(2008年)、コーネル『イマジナリーな領域』(2006年)、ラフルーア『水子―<中絶>をめぐる日本文化の底流』(2006年)など。博士論文を元に、『中絶の技術とリプロダクティヴ・ライツ』執筆中。

有田 啓子 (ありた けいこ)
立命館大学大学院研究生。
家族が多様化しているにもかかわらず、近代家族、近代親概念が規範として強く残存しているとされて久しい。博士論文「『親』という社会システムの再構築に向けて―『同性親』をめぐる諸議論の検討― 」に於いては現代において登場した同性親(same-sex parenthood)が、親概念にどのような修正を迫っているかを具体的に検討した。同性親をめぐる議論は、私的扶養優先の原則の域から出ないものではあるが、近代家族概念を再考する際には、不可避の問題群であることは確かである。親という社会システムを再構築する際に加味されるべき視点を提起したい。

コーディネーター
村田 晶子 (むらた あきこ)早稲田大学文学学術院・ジェンダー研究所研究員
吉野 亜矢子 (よしの あやこ)早稲田大学教育・総合科学学術院・ジェンダー研究所研究員

早稲田大学ジェンダー研究所  お問い合わせ先:小林富久子(TEL:03-5286-1536)
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=P4&kbn=0&KikoId=01