電子書籍続く

さて、Kindle。非常にほしくてしかし、悩む理由もいくつかあって、昨日から悶悶としていたら、id:melanie-ji-woo先生がもう購入なさっていらしたのですね。先を越された!といっても今年度の研究費はもうかなりきついので買うのはいずれにせよ厳しいのですが・・・



悩んでいるのは利点と心配点が拮抗しているからで、ちょっと整理すると以下のとおり。

利点
書籍が読みたいときに、すぐに、買って読める。時間がかからないというのは、もう涙が出るほどありがたいですよ。とくにポッカリあいた一日に調べ物をしていて「あ、これ読まなくちゃ!」と気づいたときなど。
配送にお金を払わなくてよいため、洋書がものによっては半額近くなる。
そして、これがとても大きいのですが、
場所をとらない。研究室も自宅もすでに本であふれている状態なのですが、これが電子書籍になると一気に消えるわけですね。
当然のことながら軽いし。電車に何冊もの本を持ち込むなんていうことも、重さを無視してできるわけですし。
そして、電子媒体ならではの・・・検索。音声。辞書機能。メモ機能。

というわけで、本当、のどから手が出るほどほしいんですが、心配な点もいくつか。
心配点
購入した本が所有できない。
決定的に不安なのはこれ。特にこの7月、アマゾンは『1984年』を利用者に断りなく書籍をkindleから撤去し、購入者に返金したということで、以下のようなニュース。ここでは、学校の勉強のためにキンドル版『1984年』に書き込みをしていた高校生がアマゾンを相手取り訴訟を起こしています。今までにとったノートがいったいどのパッセージに関連付けたものなのかわからなくなり、使えなくなってしまったとのこと。
で、まあ、結局は法的に決着がついたようなんですが、これを実際に論文を書いているときにやられたら、涙が出るほどいやかも。というか、まさに訴訟ものかも。
今回このようなことがあった以上、もう二度とない、という可能性もあるのかもしれませんが、最終的にこれにはアマゾンと購入者だけでなく出版社側の思惑も絡まってくるため、今後のことはあまりわかりません。ていうか、詳しいことはあまりフォローしていないので著作権法が専門の方いらしたら教えてください。

Amazon Sued for Kindle Deletion of Orwell
[...]
The lawsuit said Amazon never disclosed to customers that it "possessed the technological ability or right to remotely delete digital content purchased through the Kindle Store."

Bruguier complained to Amazon repeatedly after losing his copy of "1984," appealing in vain for that or an authorized edition to be restored to his Kindle, according to the lawsuit. "I thought that once purchased, the books were mine," he wrote.

Gawronski told The Associated Press he was assigned "1984" for an advanced placement course in which students must turn in "reflections" on each 100 pages of text when they return from summer break, then take a test. He was a quarter to halfway through the book when it disappeared from his Kindle.

His notes on the book were "rendered useless because they no longer referenced the relevant parts of the book," according to the lawsuit.

Amazon Sued for Kindle Deletion of Orwell - CBS News

あと、プリントアウトだの、なんだのは難しいらしく、学会発表のハンドアウトを作ったり授業でつかったり、は無理かも。

もうひとつはちょっとソニーのe-readerに注目しているから。
この休みにイギリスに行ったとき、すでにかなり田舎町でも大手書店にソニーのe-readerがおいてあることに気づき、本屋に歩いていってぱらぱらと本をめくり、それからその本屋のサイトでダウンロード購入する、というビジネスモデルができつつありげなことにかなり驚いたのですが、こう、これだけ潜在的に便利なものが寡占状態であるのはどうか、という感覚もありまして。
電子書籍リーダーは、下手をすると町場の本屋さんを含め、すべての流通業者を完全すっとばして出版社が直接書籍を売ることができる可能性を秘めた、いわば「モロバの剣」なわけで、アマゾンが、かなり力を入れているというのは企業のあり方としてはとても納得がいくのですが、一消費者としてはやはりひとつの企業が流通をあまりに仕切る事態というのもやや心配。

というかソニーはこの8月にキンドル対抗モデルを出したばかりなので、このタイミングでのキンドルインターナショナル発売と聞くと、この後の展開がかなり気がかりです。
なんとなーくキンドルに惹かれつつも、ソニーだの、それから(これはまだ風のうわさに過ぎないのだけれど)AppleIpodのe-reader版を出すのではないか、などというようなうわさにちょっと惑わされたりも。

ということで、もう少し、鬱々と考えて見ます。

ちなみに実はキンドル、動画版の使用レビューが以下にあります。
電子ブックリーダー Kindle が日本でも発売開始! [動画付き] | Lifehacking.jp