友達のNちゃんに相談事を打ち明けられる。「私はどうしても時間の使い方が下手なのよねー。本当、何にもできないで一日が終わっちゃうの!」と、まだ2歳のY君を抱っこしながらニコニコしている。
「それでね!有名な占星術師のルネ・○○○ダール・ワタ○べ先生に相談しようと思って予約取ったんだけれど、一人で行くのがいざとなったら怖くって。アヤコさん、一緒に来てくれない?」
時間の使い方が下手→占星術師に相談・・・・というあたりの思考回路がすでに、彼女の時間の使い方の問題を明らかにしているような気がしないでもないのだけれど、そういうことを指摘するのは友達の役割ではない。
それに、彼女が予約をとった先生は私の世代の占い少女だったら誰でも知っている大御所だ。興味半分で行くことにする。

行ってみると、先生は(思ったより年をとっていた・・・・って当然か。私が16の頃バリバリ活躍していたのだから)、私がいることなど気にもなさらずに、ホロスコープを片手に、火・風・水・土のエレメンツがいかに彼女の星の並びでは不均衡なのかを彼女に切々と説いてくれた。うそ臭い。けど、Nちゃんは真剣に聞き入っているので、まあ、良いとしよう。と私は口をつぐむ。
で、先生はずっと私が見えないかのように振舞っていたのだけれど彼女との話がひと段落ついたくらいで、半紙に毛筆でさらさらと何かお書きになり、それを脇に控えている助手さんと思しき女性に「後ろの壁に貼ってください」と手渡す。それから私のほうをやおら向いて「だんなさんが外で待っているようですし、あなたはこの鏡でも見てください」と手鏡を渡してくれた。
ほほう、半紙を鏡で読めという趣向なのね、と覗き込むと、実は半紙はものすごい量壁に貼られてあって、真っ先に目に飛び込んだのは「死せる親友に対する愛を彼は知っている」という文。
え?と思ってもう一度読み直そうとしたのに、ぜんぜん見つからない。
夫の親友といえばEだけれど、Eはぴんぴんしてカーディフで生きているし。

困惑したまま先生のほうを向いたとたん、思い出した。


Nちゃんは、もう死んだんじゃなかったか。


私がイギリスにいる間に、3歳になったかならないかの男の子を後に残して病死したのだった。
子供の小ささにどんなに心残りだっただろうと思いながらも、私はイギリスに留学中でそれ以降、一度も彼女のご両親にも子供にもあっていない。彼女はなくなる前に離婚をしているので、今では再婚し新しい家庭を築いているだんなさんを気軽に尋ねて、彼女の子供に会う気もせず、会いたいという気持ちと、会ってどうなるのだという気持ちが半々でいたのだった。
・・・ていうか、私をここにつれてきた、あの女性は誰?


というわけで目が覚めたのだけれど(当たり前だ)、なんというか奇妙にリアルな夢だったので体中ぐっしょり汗をかいていた。今日も良い一日になりそうだ。