My Year of Living Biblically

これもまた細切れ時間に読んでいた軽い読み物。 Year of Living Biblically: One Man's Humble Quest to Follow the Bible as Literally as Possible
数年前話題になっていた時には興味がまったくなかったのだが、不可知論者のユダヤ人がヘブライ語聖書、新約聖書にきっちりとのっとって生活をしてみる、という試みを書いたこの本。聖書がその成立した時代の人々の世界観や規律を反映している以上、それが現在持ち込まれた時、様々な齟齬が出てくるのは当然で、そのようなものを面白おかしく書いてみて何になるのだろう、と読む前は思っていたのだった。
最初の想定とは異なり、かなり意識的にアメリカ国内のファンダメンタリズムを横目で見ながら、聖書と言う古い書物に向き合った経験談になっている。それなりにジャーナリストとしての取材の仕事もなされてあり、読み応えがある。ただし、ユダヤ人としてのスタンスで書いているのでヘブライ語聖書(旧約聖書)の教えが中心。
私にとって意外だったのは、「こんな馬鹿げた規則があるのですよ、わはは」に留まらない、ある種の生真面目さが見て取れたところで、それが、一歩間違えると極めて薄っぺらくなりがちな試みを面白いものにしている。NYのユダヤ人コミュニティの様子がなんとなく伺い知れるところも、アメリカ文化に疎い私には面白かった。


ちなみに、生理中の女性に触れてはならない、生理中の女性の座った椅子にも座ってはならない、とする戒律に憤然とした著者の妻が、家中の椅子に座ってまわった下りでは思わず吹き出した。

聖書男(バイブルマン)  現代NYで 「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記

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